【緊急】水が溢れそうなときの応急処置

水を流したら水位がどんどん上がって溢れそう…という事態に直面したら、落ち着いて以下の応急処置を行いましょう。

まずは水を流さないこと

水位が上がって溢れそうになると「もう一度流せば直るかもしれない」と考えてしまいますが、すでに詰まりが発生している状態なので絶対にNGです。

特に集合住宅（マンションやアパート）では、階下への浸水により賠償問題に発展することもあるため、溢れそうなときは絶対にレバーを回さないでください。

また自動洗浄機能を搭載したトイレは、意図せずセンサーが反応して水が流れてしまうことも。そのため電源プラグを抜いておくと安心です。

この場合は、ゴム手袋を着用してペットボトルまたは紙コップなどで汚水を汲み出し、便器内の水位を下げてください。

床への浸水を防ぐ準備

水位を下げたら、次は作業中に水が溢れた場合に備えましょう。ラバーカップを使って作業をする場合などに、汚水が飛び散る可能性を減らすためです。

古いバスタオルやタオルを便器の真下や周囲の床に敷き、その上に新聞紙やチラシを重ねると吸水力が高まります。また、すぐに拭き取れるように雑巾も数枚用意しておきましょう。

特に、便器と床の接地面は水が溜まりやすい場所です。この部分は厚めに養生しておくことをおすすめします。

またご家庭にあるようでしたら、ビニールシートなどをいちばん下に敷くのもよいでしょう。養生は面倒ですが、作業後の清掃時間を大幅に短縮でき床材の劣化も防げるため、必ず行うことをおすすめします。

止水栓を閉める（場合により）

• 小さな子どもやペットがいる家庭
• 自動洗浄機能付きのトイレ
• 長時間放置して様子を見る場合
• タンクから水が止まらない場合

こうした場合、止水栓を閉めることで誤って水を流してしまうリスクをゼロにできます。

止水栓は便器の後ろの壁や床、または給水管とタンクの接続部分などにあります。ハンドルタイプの場合は時計回りに、マイナス溝タイプの場合は溝にマイナスドライバーを差し込んで時計回りに回すと閉まります。

また、以下のような注意点もあるためご注意ください。

長年使用している止水栓は、内部の部品が固着していることがあります。その状態で無理に力を加えると、本体や給水管が破損し水漏れが悪化するおそれがあります。築10年以上の物件では、配管の老朽化が進んでいる可能性があるため注意しましょう。

トイレの水が引かない3つのパターン

トイレの水が引かないときの具体的な症状別に、特徴や緊急度をまとめました。ご家庭の状況がどこに当てはまるか確認してみてください。

水位が上がってスーッと引く

水を流すと一時的に便器内の水位が普段より高くなり、その後、数秒〜数十秒かけてゆっくり水位が下がるパターンです。「ゴボゴボ」「コポコポ」などの音がすることもあります。

軽度のトイレ詰まり発生しているサインと捉えましょう。完全に排水管が塞がれているわけではなく「水の通り道が狭くなっている」「流れが悪くなっている」状態です。

特に「水位が下がるまでの時間がどんどん長くなっている」「毎回同じ症状」「水を流すたびに溢れそうなほど水位が上がる」などという場合は悪化している可能性があるため、すぐに対処が必要です。

水位が上がったまま下がらない

水を流すと便器内の水位が上がり、時間が経ってもほとんど下がらないときは、中度〜重度の詰まりが起こっていると考えられます。放置しても自然に改善する可能性は低いため、速やかに対処しましょう。

適切に対処すれば自分で解消できることも多いですが、判断に迷ったらすぐに業者に相談することをおすすめします。悪化させるより、プロに任せたほうが結果的に費用も時間も節約できます。

水が完全に流れない

水を流してもまったく流れない、水位がまったく下がらないときは重度のトイレ詰まりです。放置しても水位が変化しない、悪臭が強く発生するといった症状が現れます。

自力での解消は非常に困難で、トイレが使えず生活への影響も大きいなどリスクが多いことから、こうしたケースでは速やかに業者を呼んでください。

トイレ詰まりで水が引かない・溢れそうなときの原因

トイレの水が引かないときは原因を特定することが重要です。主な原因を挙げていくので、ご家庭のトイレの状況と照らし合わせて原因を見極めてください。

トイレットペーパーの流しすぎ

トイレットペーパーは水に溶けますが、一度に大量に流せば詰まってしまいます。たとえばTOTOでは、大洗浄でシングルのトイレットペーパーなら10m（ダブル5m）まで、小洗浄で同3m（同1.5m）までとしています（※）。

トイレットペーパーのミシン目の間隔は約20〜25cm（メーカーや製品で異なります）なので、これを基準に一度に流しすぎないよう心がけることが大切です。

※参考：便器洗浄時の注意事項 _ 修理 _ お客様サポート _ TOTO株式会社

水に流せないもの・固形物の詰まり

• ティッシュペーパー
• 水に流せるお掃除シート
• 食品などに含まれる油類
• 排泄物や嘔吐物、食べ残し
• スマートフォンなどの固形物
• オムツやナプキンなど水を吸って膨らむもの
• ペットのトイレ（猫砂）　など

これらはトイレに流さないようにしましょう。ティッシュはトイレットペーパーと違い、水に溶けやすく作られていません。ごく少量なら流れるかもしれませんが、頻繁に流したり大量に流したりすれば詰まってしまうことがあります。

「流せる◯◯」系も詰まることがあります。一枚ずつ流す、トイレには流さず可燃ごみとして処分するなど工夫しましょう。
また、食べ残しや汁物などを流すと油が冷えて排水管の内側に固着し、排水管を閉塞させてやがて詰まってしまうこともあります。

さらに、高吸水性ポリマーが使用されているオムツやナプキンなどをトイレに流した場合、排水管の中に留まり、水を吸って膨張し流れをせき止めてしまいます。取り出すことも困難なため、絶対に流さないように注意が必要です。

このほか、実際にトイレに詰まっていたものをTOTOが紹介しています。以下を参考に、心当たりがあるご家庭は十分ご注意ください。

※参考：便器のつまりの注意事項 _ その他・お役立ち情報 _ お客様サポート _ TOTO株式会社

排水管の汚れ蓄積・尿石

細かな汚れなどが長い年月をかけて排水管の内側に蓄積され、やがて水の通り道が狭くなってトイレ詰まりが発生することがあります。

また排水口が細い男性用小便器は、きちんとお手入れをしていないと尿石がこびりつき、トイレ詰まりが発生することがあります。詰まるほどの状態になると自力で解消することが難しいため、業者を呼ぶようにしてください。

排水桝の詰まり

排水桝（はいすいます）は、トイレ・キッチン・お風呂・洗面所などから出る排水を集約する設備で、そこで固形物や大きなゴミを止めたり、排水の流れを調整したりして下水道に流す役割があります。

排水桝が詰まると家全体の排水が悪くなり、トイレの水が引かない原因にもなります。土砂や落ち葉、木の根などが原因で詰まってしまうことも。

トイレだけでなくお風呂の排水が流れにくい、洗濯機の排水が遅い、キッチンのシンクで水が逆流するなど複数箇所で症状が現れたときは、排水桝の詰まりも疑いましょう。ただし自分で点検するのは危険なため、必ず業者を呼んでください。

【原因別】水が引かないときの正しい対処法

トイレの水が引かない原因別に、適切な対処法をご紹介します。

【放置で解消】時間を置く方法

「トイレットペーパーや流せるお掃除シートを多めに流してしまった」など、水に溶けるものだけが原因であれば、時間の経過とともに解消される可能性があります。固形物や水を吸って膨らむもの、油の固着などは放置しても直りません。

放置して様子を見る場合は30分〜1時間、どんなに長くても2時間程度を目安にしましょう。それでも解消しなければ他に原因がある可能性が高いため、一度業者を呼んで点検してもらうことをおすすめします。

【ラバーカップ・真空式パイプクリーナー】自分で解消する方法

一般家庭で発生するトイレ詰まりの多くは、ラバーカップ（すっぽん）や真空式パイプクリーナーで解消できるはずです。どちらも先端にゴム製のカップがついた、トイレ詰まりの解消道具です。

ラバーカップを使う場合は、カップを排水口に押し込んで中の空気を抜き、数センチほど勢いよくグッと引きます。ゴボゴボなどと音がして流れていけば成功です。真空式パイプクリーナーも原理は同じですが、本体ではなく手元のハンドルをグッと引きます。

▼用意するもの

• ラバーカップ（トイレ用）
• バケツ
• ゴム手袋
• ビニールシート（新聞紙、古タオル）

▼作業手順

1. 床にビニールシートや新聞紙を敷く
2. 便器の水位が高いときはペットボトルなどで水を汲み出す
3. カップ部分を排水口にしっかりと押し当てて密着させる
4. カップをゆっくり押し込んで中の空気を抜く
5. カップを数センチほど勢いよく手前に引く
6. 「押す→引く」を繰り返す
7. 「ゴボゴボ」などの音がして水が流れ始めたら成功
8. 最後にレバーを回して水を流し、問題なければ完了

水位はカップが完全に浸るレベルに調整しましょう。また押す力ばかり強くしても解消しません。グッと勢いよく引く力に重点を置いてください。

真空式パイプクリーナーも原理・使い方は同じ

真空式パイプクリーナーはラバーカップの進化版で、手元のハンドルを引くことで強力な真空状態を作り出し、詰まりの原因を吸引します。ラバーカップの数倍の吸引力があります。

カップ部分を排水口に密着させたらハンドルをゆっくり押し込み、次に勢いよくハンドルを引くという動作を繰り返しましょう。

ラバーカップや真空式パイプクリーナーには種類があり、用途が異なります。注意点とあわせて、こちらの記事で詳しく説明しています。

【手で取る】固形物が見える場合

トイレ詰まりを招いていると思われる異物が目に見える場所にあり、なおかつ手が届くのであれば、ビニール袋やゴム手袋などをはめて手で掴み取るという方法もあります。ビニール袋を使う方法や注意点はこちらの記事で詳しく解説しています。

詰まりが解消したかの確認方法

水が流れるようになっても、トイレ詰まりが完全に解消されたかはまだ分かりません。いきなり「大」のレバーを回してしまうと、水が溢れてしまう可能性があります。バケツに水をくんで少しずつ流し、問題なく流れればレバーを回して最終確認をしましょう。

水が引かないときに絶対にやってはいけないこと

トイレの水が引かないとき、焦って誤った対処をすると症状が悪化したり、便器や配管を破損したりするおそれがあります。以下のような行為は絶対に控えましょう。

それぞれ詳しく説明します。

何度も水を流す

「もう一度流せば直るかもしれない」とレバーを回したり、バケツに水をくんで流したりすることは控えましょう。トイレから水が溢れて床が汚水まみれになってしまうおそれがあります。

熱湯を流す

お湯のほうがトイレットペーパーなどが溶けやすいイメージもありますが、確かな根拠はありません。陶器製の便器に熱湯をかけるとヒビ割れを起こすこともあり、その場合は修理費用が高額になるおそれもあります。お湯を使う際の注意点などはこちらの記事でも詳しく解説しています。

針金ハンガーで無理につつく

便器や排水管を傷つける可能性があるだけでなく、固形物などを奥へ押し込んでしまえばトイレ詰まりが悪化するかもしれません。特に原因がはっきりしないときは控えましょう。針金ハンガーを使う際の注意点などはこちらの記事でも詳しく解説しています。

パイプクリーナー・洗剤の使用

排水管を掃除するためのパイプクリーナーや、強力な酸性洗剤もしくはアルカリ性洗剤なども、トイレ詰まりの解消には効果的ではありません。これらの注意点については、以下の記事で詳しく説明しています。

重曹とクエン酸は効果なし

重曹単体はもちろん、重曹とクエン酸（酢）を混ぜて発泡させるといった方法もトイレ詰まりには効果がありません。時間やコストの無駄になるため別の方法を選んでください。その理由や注意点については、以下の記事で詳しく説明しています。

ラバーカップで固形物を押し込む

バーカップは排水管の内圧を変化させて詰まりの原因を取り除く道具ですが、「固形物」「水を吸って膨らむもの」などに対しては奥へ押し込んでしまうリスクがあります。

排水管の曲がり部分に引っかかるなどした場合、取り出せなくなって便器の取り外しが必要になることも。修理費用が高額になるおそれがあるため、スマホやおむつなどが原因の場合は使わないようにしましょう。

業者に依頼すべきケースと料金相場

自分でできる対処法を試しても解消しない場合や、明らかに自力では難しいケースでは業者に依頼するのが最善の選択です。業者に依頼する判断基準、料金相場、信頼できる業者の選び方を詳しく解説します。

業者に依頼すべき5つのケース

• ラバーカップ（真空式パイプクリーナー）で解消しない
• 固形物を手では拾い上げられないところまで落とした
• 排水管や排水桝が原因と考えられる
• おむつ、ナプキンなど水を吸って膨らむものが原因
• 原因がわからない

ご家庭で発生する一般的なトイレ詰まりの多くは、ラバーカップや真空式パイプクリーナーで解消できるはずです。解消されないトイレ詰まりは、自力で直すのが難しいため業者を呼ぶようにしましょう。排水管や排水桝などが原因の場合も、自力では直せませんので業者を呼んでください。

修理料金の相場

• 軽度の詰まり：8,000円程度〜
• 専門道具を使用する場合：15,000円程度〜
• 高圧洗浄機が必要な場合：30,000円程度〜
• 便器の着脱が必要な場合：30,000円程度〜
• 排水管の修理：50,000円程度〜

一例ですが、これくらいの費用が目安になります。業者によっては出張費・深夜早朝割増・キャンセル料などがかかることもあるため、問い合わせの際などに必ず確認しましょう。

※当店は相談・出張・見積・深夜早朝割増・キャンセル料すべて0円ですのでご安心ください！

業者選びのポイント

• 水道局指定工事店を選ぶ
• 見積もりを必ず取る（内容に不明点はないかも確認）
• 口コミ・実績を確認する
• 創業年数・有資格者の在籍を確認する
• 保証・アフターサービスを確認する

自治体の水道局から指定を受けた、一定の技術力と信頼性が認められた業者が「水道局指定工事店」です。国が定めた基準をクリアした高い技術力を持っています。

また見積もりに「基本料金」「作業料金」「部品代」「出張費」など、内訳が詳しく書かれているかも確認し、あいまいな項目がある場合は説明を求めましょう。追加料金が発生する可能性について説明してくれる業者だとより安心です。

このほか、利用した人の口コミ、ホームページの施工実績、工事に対する保証の有無なども優良業者を見極めるポイントになります。

トイレが詰まって水が溢れたときの対処法

トイレを流したら水がどんどん上がってきて溢れてしまった…というときは、以下の手順で被害の拡大を防ぎ、衛生環境にも配慮しながら正しくお手入れをしてください。

すぐにすべきこと

1. もっとも重要なのは「絶対にそれ以上水を流さない」ことです。水が上がってきている状態でレバーを回すと、便器からさらに汚水が溢れ出します
2. 次に、便器から水を汲み出して水位を下げましょう。ペットボトルや紙コップで汲み出し、バケツに溜めるなどしてください
3. 次に、床にタオルや新聞紙を敷いて汚水を吸収します。便器の足元は特に重点的に行いましょう

水が溢れたあとの掃除方法

汚水が溢れて床などが汚れてしまった場合、さまざまな雑菌が付着していることが考えられますので除菌・消毒をすることが大切です。

▼用意するもの

• 住居用洗剤
• アルコール除菌スプレー
• ゴム手袋
• 捨ててもよい雑巾（数枚）
• 新聞紙

住居用洗剤は、床の素材によって使えるものと使えないものがあります。必ず商品の「使用できない場所・素材」などで問題なく使えることを確認してください。

▼掃除の手順

1. 新聞紙に汚水を吸い込ませて取り除く
2. 住居用洗剤を吹きかけ、雑巾で拭き掃除をする
3. 別の雑巾を水に濡らして水拭きをする
4. アルコール除菌スプレーを吹きかけて雑巾で乾拭きをして仕上げる

汚水に濡れた場所がアルコールを使えない素材だった場合、直接吹きかけるのではなく雑巾に染み込ませて拭き掃除をするか、住居用洗剤で拭くのみに留めておきましょう。

トイレ詰まりを予防する方法

トイレ詰まりは、日頃の使い方と定期的なメンテナンスで予防できます。再発防止のため以下のポイントを実践しましょう。

流す量を適切にする

• 大洗浄（大）: シングル10m（ダブル5m）まで
• 小洗浄（小）: シングル3m（ダブル1.5m）まで

前述の通り、TOTOでは一度に流せるトイレットペーパーの量を定めています。これを守るようにしてください。

なお両腕をいっぱいに広げた長さは約150cmです。10mは約6〜7回腕を広げた長さで測ることができます。思っているより多いですが、大量に使ったときは数回に分けて流しましょう。あわせて「大」「小」のレバーの使い分けも心がけるようにしてください。

流してはいけないものを把握する

• 水に溶けないもの
• 流せる◯◯系の製品
• 吸水性ポリマーを含む製品
• 固形物
• ペット用品
• そのほか嘔吐物・食べ残し・タバコの吸い殻・ガムなど

トイレットペーパー以外は流さないようにすることが大切です。TOTOのホームページでは、実際にトイレ詰まりの原因となっていたものをリストアップしています。こちらもあわせて参考にしてください。

※参考：便器のつまりの注意事項 _ その他・お役立ち情報 _ お客様サポート _ TOTO株式会社

定期的なメンテナンス

• 水をしっかり流す
• ブラシで排水口周辺を丁寧に掃除する
• 定期的に尿石除去剤を使用する（男性用小便器）

築年数が古いご家庭は、排水管に汚れが蓄積している可能性があります。できれば一度、プロによる高圧洗浄といった洗浄をお願いするとよいでしょう。

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